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スタッフブログ
2025.02.14
新築とリフォーム、いま昔
昔の普通
昔、家はどうやって建てたり、直したりしていたのでしょうか。
ここでいう昔とは、戦後の復興以前のこと。
まだ新建材のなかった時代のお話です。
住宅ローンもリフォームローンもないので、今のように資金が少ない状態で建てることはできません。
全額先に用意する必要があるので、近所で新築の工事が始まれば「あの人は甲斐性がある」と羨望のまなざしを向けられたんだそうです。
家を建てたいと思ったら、まずはお金を貯める事から始め、並行して毎年少しずつ材木屋さんなどから丸太を買い集めます。
足りない場合は、どこかで解体した部材をもらってきて使います。
木材は正しく管理すれば何百年と朽ちず、乾燥してより強くなるので、古材を「新しいのがなかったから」とネガティブに使うんじゃなくて、「いいのがあるよ」と喜んで当たり前に使われてきました。
そして、地域により京間、江戸間と基準があるように、大体の物の寸法が決まっていたので、柱梁だけでなく、建具や階段など再利用がしやすい仕組みも整っていました。
そうして部材や手間代が揃ってから、近所の大工さんにその木材を刻んで建ててもらっていたそうです。
その大工さんは町内に1件くらいはあり、近所の修繕やたまにある新築だけで1年中仕事が回っていたといいます。
リフォームは今のように大掛かりにせず、1ケ所づつ修繕したりと、無理なく維持管理していました。
実際そんなことが「普通」だったと、大正生まれの祖母から聞きました。
原木から調達するので太く丈夫な木材で建てることができ、傷んだところを随時直していくので代々長く引き継ぎ住み続けられるシステムです。
でもこれは、木材や漆喰など同じ材料がずっと手に入ることが大前提のシステムです。
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今の普通
時代と共に、随分と家の建て方も、価値観も変わってきました。
今や、主流は新建材。
ビニールクロスや合板フローリングは、色も模様も豊富でイマドキのものにあふれ、展示場に行くと自分の家もこんなおしゃれにしたい!と気分が上がりますね。
でもお洋服のように流行り廃りがあり、すぐ廃番になって修繕時に同じものを手に入れることは難しくなります。
だって、メーカーはドンドン買いかえてもらうのがお仕事だから、どんなものが好まれるか研究を怠りません。それも一つの企業努力ですね。
同じ品番のものがあったとしても、数年前に貼ったところの横に貼るとどうしても色味に違和感が出ます。
製造時期が同じでもロットが違うだけでも変わってしまうと、メーカー側も言っています。
なので、傷んでいるのが一部分でも、全部を変える必要がでてくるのです。
そして、たった十数年すれば、全体的に黄ばんではがれて、「なんか汚いな」と取り換えたくなります。
一度に全部屋を取り換えるとすれば、数十万はかかります。
十数年ごとに数十万かかるということです。
想像してみてください。
家でいう十数年ってあっという間ではないですか?
「もう10年経つの?私も年取るわけよね」なんて感慨にふけっている場合ではありません。
消費されることを良しとすれば、それは循環が生まれることになりますが、
もうそんな使い捨ての時代ではなくなってきているとみんなが気付いてきています。
この記事を読んでいるあなたもきっとそんな一人でしょう。
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永遠のメンテナンス費を防ぐ方法
その十数年に一度くる永遠の出費を防ぐ方法は、昔のように長持ちするものを選ぶこと。
たとえば漆喰なら十数年で塗り直しが必要になることは、余程のことがないかぎりありません。
日本のお城など、しょっちゅう塗り替えることはありませんよね。
穴をあけてしまったり、落書きしてしまっても、上から塗ったり、カッターや消しゴムで削ったりすれば簡単に補修完了です。
ドンドンと硬くなり、結晶が乱反射して見える白さなので、黄ばむこともありません。
つまり昔のように、大掛かりになる前に少しづつ修繕することができるのです。
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定番建材か流行り建材か、どちらにしたいですか
そして、昔から変わらないものは、流行りとは無縁。
いわば、殿堂入りの定番です。
ファッションの定番のように、自分達だけでなく子供たちの時代にも、普遍的に愛され続ける家になるのです。
流行りは、カーテンや小物で取り入れると、好みが変わった時も気軽に取り換えることができます。
買い物は投票です。
ぜひ、本当はどうしたいと思っているか、自分の心に尋ねてみてください。
10年、20年で使い捨てる建材の、30年ごとに建て替えを推奨される流行りの家か、
普遍的な自然素材の、永く住み継げる定番の家か。
どちらかが良い悪いではなく、どっちを選ぶ?という話です。
あなたの欲しいのは、どちらの家でしょうか。