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スタッフブログ
2024.07.12
築124年の町家リノベーション(スタッフ小松自宅)のはじまり
築124年、明治生まれの京町家を、無添加住宅の素材を使ってフルリノベーションしました。
無添加住宅の手本となっているのは、
「シックハウス症候群のなかった頃の昔の家づくり」。
まだ新建材が誕生する前に建てられた「本物の無添加の家」を
無添加住宅の素材でリノベーションした、まさしく無添加な家です。
と、これは実は後付けの意味合い。
本当のところは、ずっと京都に暮らし、いつかは住みたいとほぼ野望レベルで願っていたその思いを叶えただけ。
年に800件も取り壊されていく京の町家を、何とかこの手で残したい。
たった1件ではありますが、私も役に立ちたい。
いや、京町家でなくても古民家ならよかったんです。
古ければ古いほどよし。
なぜと言われても、好きだからとしか説明できないのがもどかしい。
昔からアンティークやただただ古いものが好きで、出会って心が動くものたちを少しづつ集めていました。
どうしても連れ帰りたくなるんですね。
それを当時は新築のマンションに飾っていた。
でも、どうもしっくりこない。
上の写真のミシンも、金庫も、振り子時計も。
物は同じなのに、なぜビニールクロスと合板フローリングではダメなんでしょうか。
これ、同感いただける方おられますか?
古いものは好き、でも住んでいたのは新築マンション。
暑い寒いが怖かったんですね。
もともと実家は築50年ほどの家で、そこでは冬はとてつもなく寒かった。
それがもっと古い築100年越えの家なら、もうそれは外ではないか。
建具もアルミサッシではなく、木製建具。
みかけは素晴らしく味があるけれど、ダイレクトに四季も感じられるという恐怖には耐えられず、
選んだのは新築マンションだったのです。
でも、やはり心動くのは古いもの。
マンションははるかに快適な暮らしだったかもしれませんが、心はいつもスッカスカ。
あまり好きにはなれないまま15年も過ごしました。
で、決心して探し始めました。
できるだけ古い賃貸を。
緑豊かな地方から、便利な街中まで、見つけるのに約2年かかりました。
そしてその見つけた築113年の京町家を思い切って借りて住んでみました。
どれだけ暑く、そして寒いのか体験するのが一番。
よほど辛ければあきらめもつくだろうと。
木製建具は締め切っていても、風が吹けばガタガタ音を立てて揺れます。
引き違い戸の真ん中にねじ式の鍵が付いていますが、2枚の戸同士はそれで固定されても枠との隙間があるので、2枚同時にガタつきます。
昼も夜も年中ガタ…ガタ…。
台風の日はガタガタガタガタ…。
反対に、結露したことは3年住んで一度もありませんでした。
まあそれは良しとしましょう。
次は夏。
京都の夏は、盆地でジメジメと湿気の多めの暑さです。
京町家は基本、奥に長く3つ部屋が並んでいる間取りなので、真ん中の部屋には窓がありません。
その真ん中の部屋にはエアコンもついていません。
ドレンが長くなり工事費もドンと高くなるからです。
そして、もともとトイレもお風呂もなかったところに、奥の庭の一部を増築してお風呂にしていたりするので風のとおりがとても悪いのです。
建具はガタガタいうのに涼しくない。
最悪です。
冬がやってきました。
その冬は特に寒く。雪の日が度々ありました。
案の定、外気とほぼ同じ温度です。
正確に言うと、室温の方が数値は高いのです。
でも、体感的にはもう同じです。
外のようにビュービュー風が当たらないことを心底感謝しました。
エアコンと電気ストーブをフル稼働して、なんとかやり過ごしました。
このお隣も同じ間取り、同じ仕様のはず。
何十年前かにリフォームしたと仰ってたけど、基本は同じでしょう。
わたしにも耐えられるはずと心に言い聞かせていました。
そして、1年春夏秋冬を耐えました。
私の答えは、やっぱり京町家に住みたい!でした。
どこに良さを見出したのか、この文脈ではとても理解不能だと思いますが、
それにも勝る良さがあったのです。
でも、このままではなく、快適に今の暮らしに合わせた仕様に変えて。
と、こんな感じであきらめの悪い私は、快適な町家暮らしをするべく検索に検索を重ねる日々が始まったのです。
つまり何が言いたかったかというと、
あきらめられないことがあるって気付いた人は、その時何才になっていたとしても、今が叶えるタイミングなのかもしれませんよってことです。
こんな話を誰が読むんでしょうか。
すみませんが、まだ続けさせてください。
写真の説明、一階。
出格子の影がうつる表の間(おもてのま)。
京町家特有のウナギの寝床。
奥に長い間取りのうち、一番道路に近いのが来客時に使う表の間です。
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